かつて、卵は日持ちの長い「乾物」を扱う乾物屋で売られていた―――。 現在、卵はコンビニやスーパーへ毎日配送される、日持ちの短い「日配品(にっぱいひん)」に分類されることも多く、乾物屋で売られていた事実はあまり知られていない。特に冬場は卵の日持ちがいいため、お歳暮として重宝されたという記録が残っている。海外では、今でも乾物屋のような店で常温で販売されることもある。 一方、現在、日本で市販される卵の賞味期限は「真夏に生で食べられる期間」にもとづいて、一律「パックされてから2週間」と、冬でも短めに設定されている場合がほとんどだ。 今回、創業67年の老舗「篠原養鶏場」の代表、篠原一郎さんにお話を伺った。長年業界の変遷を見てきた篠原さんのご経験にもとづく「卵の歴史」は、現代の賞味期限を考える上で示唆に富むものであった。折しも、11月5日は「いいたまごの日」(一般社団法人日本養鶏協会により制定)。この