ユーロ圏の債務危機、あるいはユーロ自体の存続の危機は、1990年前後からヨーロッパ諸国が追求してきた「貨幣的ユートピア」とそれを支えたマネタリズムに由来します。そのことを以下に示したいと思います。議論に際しては、欧米のいくつかの論文(Levy Economics Institute, Working Paper, The Journal of Post Keynesian Economics, The Cambridge Journal of Economics などに掲載)に依拠しているところが多々ありますが、それらの紹介は後に回します。 トッド氏(E. Todd, 1999)が冷静に観察していたように、ヨーロッパでは多くの国の指導者たちがあたかもレミング(ネズミ)のように1990年前後から単一(ユーロ)通貨圏の創設の方向にいっせいに疾駆しはじめました。それらの国では(日本でも?)、それ
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