企業が人材を採用する際に、学歴という情報を重視することがある。受験戦争を勝ち抜いて、有名大学を卒業した人は仕事を遂行する能力が高いはずで、採用すべきという判断からだ。「有名大学を卒業した人は仕事もデキるはず」という部分が「学歴シグナル」だ。 日本は、高い学歴が、高い収入をもたらすという学歴社会であった。しかし、この学歴社会と学歴シグナルは崩壊しつつあるようだ(図参照)。 高学歴=高収入の時代が終わったことは、過去10年の日本の歩みを見ればわかる。有名大学を卒業した高学歴グループに占める「高い能力」を持つ人の割合も減っている。 理由はいくつかある。例えば、一般の入学試験によらないAO入試(アドミッションズ・オフィス入試)で入学する学生が増えている。入試の科目数を減らす大学も多い。また、受験テクニックを重視する塾や予備校も増えている。こうした中で、受験生は勉強にさほど労力と時間をかけなく