3月11日に起こった東日本大震災。地震発生直後から、陸域観測技術衛星「だいち」を使った緊急観測のため黙々と仕事に取りかかる人たちがいた。JAXAで人工衛星を防災に活用する防災利用システム室のメンバーだ。中心人物の一人、麻生紀子さんに話を伺った。 麻生さんらは「だいち」が打ち上がった2006年から内閣府や関係省庁、地方自治体の防災関連機関と観測データの防災への活用や災害情報共有などの検討を進め、試験的な利用活動を行ってきた。だが数百年に一度の大地震。その瞬間、戦後初の高層ビルにある防災利用システム室は大きく揺れた。テレビで東北地方沿岸全域にわたって津波警報の赤いラインが出ているのを見たときには「本当だろうか」と信じがたい気持ちだったという。
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