南西諸島での国民保護が問いかけてくるもの――安全保障政策で「何」を守るのか 中林啓修 危機管理学、国際関係論、ガバナンス理論、安全保障研究(非伝統的領域を含む) 政治 #安全保障をみるプリズム 1.はじめに:南西諸島をとりまく状況と国民保護 2013年に制定された「国家安全保障戦略」では、日本をめぐる安全保障環境について「我が国の安全保障をめぐる環境が一層厳しさを増している」(国家安全保障戦略、1頁)との認識が示されている。 「厳しい安全保障環境」とは、一部の政策担当者や専門家だけでなく、日本の社会自体が否応なく安全保障の当事者にならざるをえない状況にほかならない。その究極の状態は、日本が武力紛争の当事国となることだろう。その可能性については、「冷戦期に懸念されていたような主要国間の大規模武力紛争の蓋然性は引き続き低いと考えられる」(平成31年度以降に係る防衛計画の大綱、6頁)とも指摘され
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