東日本大震災の災害公営住宅に暮らす被災者の健康調査を、宮城県が震災10年となる本年度限りで打ち切ることが分かった。一部自治体は継続を望むが、県が主導する形での調査は本年度で終わる。住環境が激変し、心身に問題を抱えがちな被災者のモニタリングに幕引きを図る姿勢に、市民団体は「支援施策を講じるデータが失われる」と危機感を強めている。 (報道部・高橋鉄男) 調査は支援を要する被災者を把握して施策に生かすため、郵送などで実施。期間と対象は表の通り。仮設住宅への入居に合わせて県が2011年度に始め、19年度は災害公営住宅で生活する沿岸7市町の5769世帯が回答した。 県は8月、21年度も調査を続けるか自治体に意向を確認したが、「県との共同調査への希望がなかった」として中止を決めた。県健康推進課は「通常業務や見守り支援で対応する。県も保健師らがサポートするため、決して市町に丸投げではない」と説明する。
「GoTo」ブレーキ/タイミング外してはならぬ 観光支援事業「Go To トラベル」を巡り、政府と自治体、専門家の歩調が合っていない。 政府はトラベルの運用を見直し、飲食業界の支援策「イート」事業も食事券の新規発行の中断を打ち出した。 新型コロナウイルス感染の第3波に見舞われているのに、ようやくの印象が強い。臨機応変な判断に欠け、後手に回ったとの批判は免れまい。 見直し内容は矛盾や調整不足を露呈した。札幌、大阪両市を目的地とする旅行を3週間、対象から除外した。予約済みの旅行も割引停止としたが、両市から出発する旅行は割引が適用されたままだ。 札幌市民に不要不急の市外移動の自粛を求めた北海道の対応と整合性が取れない。 西村康稔経済再生担当相は3連休後の全国知事会とのテレビ会議で、トラベル事業の見直しについて「私権制約は必要最小限にしなければいけない。知事の意向を尊重し、サポートしたい」と述べた
RCEP署名/保護主義の流れ止める礎に アジアに巨大な自由貿易圏ができる。コロナ禍の世界で近年強まる保護主義の流れに歯止めをかける動きとして歓迎したい。 日本、中国、韓国など15カ国が「地域的な包括的経済連携(RCEP)」に合意し、協定に署名した。参加国の国内総生産(GDP)と人口が合計で世界の約3割を占める最大級の経済圏だ。 日本にとって貿易額1位の中国と3位の韓国が含まれる初めての経済連携協定(EPA)ができたことの意味は大きい。 署名したのは日中韓のほか、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国とオーストラリア、ニュージーランド。 環太平洋連携協定(TPP)や日米貿易協定、欧州連合(EU)とのEPA発効に加え今回のRCEPで、日本の貿易額に占める自由貿易協定のカバー率は従来の5割強から約8割に上がる。 政府によると、日本産の自動車部品など工業製品に参加国が課す関税は段階的に下げ、最終
厚生労働省が25日に発表した賃金引き上げ実態調査によると、2020年中に賃上げを実施または予定している企業は前年より8・7ポイント低い81・5%で、9年ぶりに減少した。近年は人手不足を背景に賃金を引き上げる傾向にあったが、新型コロナウイルスの感染拡大でサービス業や宿泊業を中心に打撃を受けた業種が多く、減少に転じた。 夏の賞与を7~8月の調査時点で「支給しない」とした割合は理美容など生活関連サービス業・娯楽業で29・7%(前年12・7%)、宿泊業・飲食サービス業は40・6%(同21・6%)と、いずれも前年比で2倍程度だった。
気仙沼港IC(左上、手前は未開通区間)の近くに立ち並ぶ水産加工会社=21日午後3時ごろ、気仙沼市赤岩港 三陸沿岸道の小泉海岸-本吉津谷インターチェンジ(IC、いずれも宮城県気仙沼市)間が21日に開通した。交通の不便さから「陸の孤島」とも呼ばれた水産都市・気仙沼の中心部が、仙台や首都圏と初めて高速道路で結ばれた。東日本大震災から復興し、ようやく新しい街並みが見えてきた気仙沼。「復興ロード」は何をもたらし、どんな変革を促すのか。 (気仙沼総局・鈴木悠太) サバ、サンマ、イワシ。 気仙沼港に水揚げされた新鮮な海の幸が次々と製造ラインを流れ、煮魚や焼き魚に姿を変える。パック詰めされた商品は、目の前にある三陸道気仙沼港ICから全国へと運ばれる。 気仙沼市の赤岩港水産加工団地にある冷凍食品製造「ヤヨイサンフーズ」(東京)。震災の津波で、市内鹿折地区にあった前身会社の工場は全壊した。気仙沼港ICにほど近
岩手の水産振興策/育てる漁業で起死回生を 乱獲や地球温暖化などの影響で、養殖を含む日本の漁獲量が減少の一途をたどっている。世界有数の漁場・三陸沖を抱える岩手も近年はサンマやサケ、イカの不漁に苦しむ。こうした中、活路を開こうと取り組んでいる「育てる漁業」に注目したい。 宮古市は東日本大震災後の漁業不振を受けて、トラウトサーモン(ニジマス)の海面養殖と高級魚ホシガレイの陸上養殖を進めている。 岩手のサケ漁獲量は震災前の5年間平均で836万匹だったが、昨年度は77万匹と記録的な不漁に見舞われた。 宮古市と宮古漁協は、昨年11月からトラウトサーモンの稚魚2万3000匹を海面いけす2基で養殖し、今年4月に初出荷した。約3カ月で計51トンを水揚げし、水揚げ金額は予想を約1000万円上回る4467万円となった。来年は計100トンの出荷を目指すという。 宮古では、希少価値が高いホシガレイも今年10月に初出
外国人留学生 感染続出/相談、受診 確実に情報届けよ 対策の盲点がまた一つ浮かび上がってきた。 新型コロナウイルス感染防止の呼び掛けが、留学生をはじめ、国内で暮らす外国人に浸透していない恐れが高まっている。 仙台市では自動車大学校に通う留学生1人の陽性が、留学生の大規模なクラスター(感染者集団)に発展した。 対策に死角があってはならない。予防策を徹底するとともに、外国人一人一人に確実に情報が届き、戸惑うことなく相談や受診ができるよう緊密な関係づくりが必要だ。 仙台市の例は、感染者と同居する別の学校の留学生も陽性と判明した。市内で感染が判明した留学生は、今月12日までに計42人となった。 留学生は家賃負担を軽くするため、寮やルームシェアで共同生活を送ることが多い。トイレやシャワー、台所などを共用する中で、感染が広がったとみられる。 注目すべきは、感染リスクを負う共同生活を送りながら、症状が出
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