菅義偉首相は27日、東京都で新型コロナウイルスの新規感染者が2848人と過去最多になるなど感染が拡大する状況でも東京五輪は中止しないと明言した。官邸で記者団から「中止の選択肢はないのか」と問われたのに対し、「人流も減っているし、そこはない」と否定した。
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東京五輪は22日、開閉会式の演出担当の小林賢太郎氏(48)が解任され、開幕直前まで混乱を露呈した。2013年の開催決定以来、政財界一体となった「オールジャパン」体制は迷走を続け、皮肉にも多様性の欠如や「事なかれ主義」など、日本社会の問題点が浮き彫りになった。新型コロナウイルス禍で無観客開催に追い込まれ、多くのトラブルで国民の信頼を失ったまま、17日間の大会が開幕する。(原田遼)
23日の東京五輪の開会式で、ショーの演出を担当する小林賢太郎氏が解任された問題で、開会式のあり方を検討していた東京五輪・パラリンピック組織委員会は22日、予定通り実施すると発表した。 組織委は「本日、小林賢太郎氏を解任したことを踏まえ、改めて開会式の演出内容を精査しましたが、演出内容は様々な分野のクリエーターが検討を重ねて制作したものであり、小林氏が具体的に一人で演出を手掛けている個別の部分は無かったことを確認しました」と説明。「開会式については、予定通り実施する方向で現在準備を進めています」と発表した。
東京五輪開会式の楽曲を担当するミュージシャンの小山田圭吾さんが過去の雑誌インタビューで告白した学生時代のいじめを理由に辞任した問題で、丸川珠代五輪相は20日の記者会見で、小山田氏の辞任前に東京五輪・パラリンピック組織委員会とやり取りしたことを明かした。組織委員会は当初、小山田氏を続投させる考えを示していたが、丸川氏は「組織委の当初の考えについては、理解できませんと申し上げた」とし、「最終的な判断は組織委がした」と語った。
新型コロナウイルス緊急事態宣言下での東京五輪開幕まで1週間を切った。東京都では17日まで4日連続で新規感染者が1000人を超えるなど、感染状況は明らかに悪化傾向にあり、大会の中止を求める世論は根強い。だが政府には、状況次第で中止を検討する考えは既になく、このまま開幕を迎える方針だ。 菅義偉首相は16日、政府の東京五輪・パラリンピック競技大会推進本部の会合で「安全安心の大会の実現に向けて最後まで高い緊張感を持って取り組んでほしい」と話した。17日の読売テレビ番組では「たとえ無観客でも、感動を世界に届ける。難局を乗り越えられると発信することに意義がある」と強調した。 15日に開かれた都のモニタリング会議では、新規感染者の増加が今のペースで続けば、五輪閉幕直後の8月11日には直近1週間平均で約2400人に達するとの試算が示された。だが政府高官は「それくらいなら大丈夫。中止はない」と意に介さなかっ
政府は16日、菅義偉首相の8日の記者会見で指名されなかった報道機関が、会見後に提出した質問に書面で回答した。本紙は東京五輪に関し、新型コロナウイルス緊急事態宣言下で、国民の健康を危険にさらすリスクを冒してまで開催する意義を尋ねた。首相は一部競技の無観客開催などの対策を挙げ、「対策を徹底し安心・安全な大会の実現に取り組む」と従来の主張を繰り返し、意義については答えなかった。
この発言に関して、16日の会見で「おかしいと思ったなら、やめろと言うべきだったのでは」と記者が問うと、麻生氏は「常識的におかしいことを、言われなきゃ止められないなんて、役所がそんなレベルかね。それほど金融庁はレベルが低いと君は思ってる?」と逆質問で返した。 政府は飲食店に酒の提供をやめてもらうため、金融機関以外に酒の販売業者などにも要請を出していたが、いずれも撤回した。撤回に追い込まれたことについて、麻生氏は「総理からもおわびが出ておりましたし、私のほうからもおわびを申し上げる」と陳謝。理由について「何でこんなんなったんだよっていや、多分商売知らないからだね」と、要請の責任者だった西村康稔経済再生担当相らを皮肉った。(原田晋也)
新型コロナウイルスの感染状況を分析し、厚生労働省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」は14日、新規感染者数が1000人を超えた東京都について「感染拡大の速度はさらに加速する」との分析をまとめた。12日に発令された緊急事態宣言の効果が出るのは早くても2週間後とされ、50代以下を中心に入院者数の増加傾向は継続するという。 提出された資料によると、首都圏1都3県の陽性者のうち、デルタ株(インド株)に含まれるL452R変異の割合は4割を超えた。座長の脇田隆字(たかじ)・国立感染症研究所長は「デルタ株の増加はしばらく続く可能性が高い」と予測した。 脇田氏は「なるべく外出機会を減らし、五輪は家族やいつも一緒にいる少人数でテレビ観戦してほしい」と呼び掛けた。報道機関には、不特定多数が集まるスポーツバーや街頭での応援の取材に「慎重な検討」を求めた。
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