山口組の分裂がメディアを賑わせている。暴排条例などの影響で、「反社会勢力」とされてはいるものの、こと日本のカルチャーを振り返ってみれば、映画に小説にマンガにと「ヤクザ」や「任侠」の世界はある種の大衆娯楽として根付いているのも否定出来ない事実である。 しかし、数多ある「ヤクザ」の世界を舞台にした娯楽作品、本職の人々の目にはどのように映ってきたのか? 最新刊として『ヤクザ専門ライター 365日ビビりまくり日記』(ミリオン出版)を上梓したばかりのジャーナリスト、鈴木智彦氏に、「本職に愛されたヤクザモノ娯楽作品」というテーマで寄稿していただいた。 ---------------------------------- ハードディスクやDVDが普及する以前、ヤクザ事務所のテレビ棚にはあれこれヤクザ映画のビデオテープが並んでいた。 よく見かけたのが『仁義なき戦い』と『ミナミの帝王』だ。 前者は解説不要の