今回、お話を伺った装丁家・鈴木成一さんの、「ブックデザインには正解があるはずだ」という信念に感銘を受けた。本来、「価値」といういうものは相対的なものだと思う。ある本の装丁にしても、人によって評価は違うし、好き嫌いの違いもある。Aさんにとって良い本の装丁が、必ずしもBさんにとって良いとは限らない。 しかし、作る側がそういう相対的な価値観で作っていてはいけない。何か正解があるはずだ、何か絶対的な基準があるはずだ、究極のターゲットがあるはずだと信じてやるということが、結果としてクオリティの高い仕事につながる。 ものを作る人にとって、座右の銘とすべき、大きなことだったと思う。 得られるお金と仕事の質は比例しないということが分かっていながらも、仕事の質を最高のものにしようとする人がプロフェッショナルなのだろう。そうせざるを得ない衝動のようなものが、人間の中にある。適当に済ませるのがイヤだという気持ち