21世紀―誰もが漠然とした期待感を抱いて迎えたこの時代は、かつて夢に描かれた理想の世界をもたらしつつあるとは言えない状況にある。 あの錬金術師が私たちに残した命題、そしてその数々の著作も、もはや異教徒たちが打ち捨てた壮大な神殿のように思われる。そこを訪れるのは乾いた風と道に迷った旅人に過ぎない。 しかしこの朽ちた神殿の彼方から、いま不思議な炎をかざす者が近づこうとしている。彼らはこの神殿に新たな聖油を捧げ、いま一度清らかな炎を燈そうとしているのである。 実は彼らが現れることを、錬金術師はみずからの預言を通して知っていた。その言葉の暗示するものをここで再び思い返してみることにしよう。 「これまでのところ、生物のより高度な形態(動物や植物など)が放射性元素の生物学的元素転換を行なうという証拠は得られていない。放射能はより複雑な形態の細胞を破壊してしまうからである。しかし、バクテリアのふ