尾城 孝一(おじろ こういち/東京大学附属図書館) ● はじめに ビッグディールは、大学にとって最適な電子ジャーナル契約モデルか?この問いに対する答えは、イエスであり、ノーである。本稿では、国立大学図書館協会の取組みを縦軸にとりながら、ビッグディールをめぐる悩ましい問題について論じてみたい。 ● ビッグディールとは 図1:ビッグディールの概念図 ビッグディールとは、ある出版社が刊行している全ての電子ジャーナルにアクセスすることのできる契約モデルである。包括的パッケージ契約と称されることもある。例えば、エルゼビア社は約2,000タイトルの雑誌を電子ジャーナルとして提供しているが、エルゼビア社との間でフリーダムコレクション(エルゼビア社のビッグディールの呼称)の契約を結ぶことにより、大学の正規利用者は2,000タイトルの全てにアクセスすることができるようになる。 それでは、ビッグディールの価格