1月1日に発生した能登半島地震で甚大な被害が出ている。神戸学院大学の鈴木洋仁准教授は「被災地は、以前から大きな地震が頻発しており、一部の専門家から危険性も指摘されていたが、この地域への対策を重視したようには見えない。誰も責任を取らない形で、なし崩しに『地方が見捨てられる』という状況が生まれつつあるのではないか」という――。 新聞が見出しに掲げた「見えぬ全容」とは 能登半島地震から1週間が経った1月8日の朝日新聞は、1面の見出しに「見えぬ全容」と掲げた。 「全容」とは、何を指すのだろうか。 死者や行方不明者の数だろうか。孤立状態にある人数だろうか。 「全容」という言葉の「全容」が見えないのである。それほどまでに今回の災害は把握が難しい。 どこで、どんな被害が生じているのか。誰が、何に苦しんでいるのか。何が、どれぐらい足りないのか。現地だけではなく、情報の中心地であるはずの東京でも、ほとんどわ