先月の上旬、沢に入って二日目に、ある沢の源流部で小鳥が死んでいるのを見つけた。小鳥が冷たい水の流れに半身を浸し、目を閉じ横たわっていた。 その日は朝から細かい雨が降ったり止んだりしていた。冷たい水の中に横たわっている光景は、いかにも寒そうだった。死んでからもう数日は経っているのだろう、羽はあまりなく、肌の色はすこし白くなっており、なにか疲れたような、かなしい表情をしていた。 どうしようか、と思った。 その日は朝から冷たい雨に打たれ、僕はずっと寒さを感じていた。こんな寒い日に、こんな冷たい水の中に横たわっているのはやはり寒かろうと思い、近くの土の中に埋めようかと思った。しかし同時に、「寒そう」などというのは、人間の勝手な感傷だとも思った。「自然」の中で、人間のいない場所で、おそらく人間とは関係のない理由で、小鳥は死に、この場所に横たわっているのだ。ここで小鳥はこの場所になっていくのだ。人