12月3 砂原庸介『大阪―大都市は国家を超えるか』(中公新書) 8点 カテゴリ:政治・経済8点 帯には橋下徹の写真があり、「転換期に現れた橋下徹」との語句もあるので、いわゆる「橋下現象」を分析した本に思えるかもしれませんが、この本の射程はもっと長いものです。 第1章から第3章で「橋下徹以前」の都市としての大阪の歩みと問題点を、日本における地方自治制度の変化の中から描き出し、第4章と第5章の前半で橋下徹 の改革と「大阪都構想」をとり上げ、第5章の後半部分と終章ではこれからの大都市と地方自治制度が直面していくであろう問題について著者なりの見解を打ち 出しています。 以前、このブログで橋下徹・堺屋太一『体制維新――大阪都』をとり上げた時に書きましたが、大阪都構想の背景には、大阪市が「小さすぎる」し「大きすぎる」という問題があります。 人口約260万の大阪市はグローバルな都市間競争を勝ち抜くための