エッセイ漫画は漫画家本人の貴重なプライベートが垣間見える作品であると同時に、関係する人々のプライバシーや、目を覆いたくなるような真実に触れる危険性を孕んでいる。 昨今では『ど根性ガエル』の作者・吉沢やすみさんの娘である大月悠祐子さんが、同作ヒット後の多難な生活を告白した『ど根性ガエルの娘』が衝撃をもって受け止められた。 2022年には、エッセイ漫画家として人気を博してきた西原理恵子さんの実娘が「お母さんは何を思って私の許可無く、私の個人情報を書いて、出版したんだろう」「個人情報をつかって印象操作をしたり、人が嫌がっていることを無理矢理することはぜったいに許されることじゃない」とプライバシー侵害があったとして糾弾。その影響で心身の健康を損なった自身の窮状を訴えた。 それは“当人の意志に反して、虚実交えて家族の姿を描くことの暴力性”について考える大きな転機となった。 今回取材を行った魔夜峰央さ