「よろしければ説明いたしましょうか」と、物を大切にされていらっしゃることが伝わってくる洗濯された白ワイシャツ姿で、背が高くいつでも姿勢の良い館長の樋口さんが声をかけて下さる。 光を制御したそう広くは無い館内に入って振り向くと、外と内の境の段差の無い入り口で脱いだ靴が、背の低い笹や芝生の緑を背景にして、頭がぶつかりそうな程に低く押さえられた軒下の陽だまりの中にみえる。 守矢史料館は諏訪大社の上社、前宮のある、西山地区(高部)の神長官屋敷に建てられた史料館である。館長さんの声をかけてくださるその間、その声、その人柄と、原風景的な雰囲気を感じさせるのこの場所に惹かれ何度か訪れた。此処には現代の切れ切れの時間ではない別の時間がある。 史料館とは、博物館や美術館とは違うのだから、そもそもが目的違いですといわれそうだけれど建築面積が134�uしかないので、展示スペースはもちろん広くないし、展示物