緒方 麻也 インド・ニューデリーの首相執務室で、会見するモディ首相=2016年11月9日【時事通信社】 インド・モディ政権による衝撃的な「高額紙幣廃止」措置から2カ月、商売や市民生活の混乱もようやく収束に向かい始めている。しかし、市中の紙幣流通量の86%、20兆ルピー(約32兆円)ものキャッシュを無効化しただけに、現金取引の多い小売りや消費財関連産業、2輪車販売、そして農村部などでは一時的とはいえ大幅な需要減に見舞われている。 これだけのダメージを承知の上で実施した高額紙幣廃止の狙いは、名目GDPの25%を占めるとされるブラックマネーの捕捉・締め出しや偽札対策、と言われているが、その先には不透明かつ非効率で脱税や不正蓄財を生みやすいインドの「現金依存経済」をデジタル経済、キャッシュレス経済へと一気に移行させるという途方もない狙いが見えてきた。 「デジタル優遇」続々 政府は昨年12月上旬、ま