最近このブログでちょこちょこ取り上げるている(「『フロー体験 喜びの現象学』」 「自己と“流れ”」 「政治と外発的動機」)チクセントミハイについて、また少し書きたいと思います。 簡単に言えば、チクセントミハイが言うのは、人は自分の能力の限界を試すことに喜びを感じるものであること。その能力の方向性は各人によって違うけれども、自己の能力よりやや高いハードルを設定することで、それに取り組む動機が刺激され、達成したときには大きな充足感を得る。そのハードル越えの欲求は富や名声といった外発的な誘引ではもたらされないし、食欲や性欲といった単純な欲求とも異なる。言うならばそれは自己をより複雑にしていく行動である。一つ一つの障害をクリアすることで、その行為に関するより高いレベルのノウハウが身体に蓄積され、心身がより複雑に秩序化されていく。これはチェス・ロッククライミングから数学までじつに幅広い分野でみられる