11月7日から横浜市で始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)。世界21の国と地域から集まる要人を誘導する県警交通規制課に「匠(たくみ)」がいる。この道15年の石川範房警部補(60)は、高速道路の各出入り口の特徴から、一般道の抜け道まで熟知する規制のプロだ。今年3月に定年を迎えたが、能力を買われ再雇用された。キャリアの総決算となる大舞台を前に、準備に余念がない。 要人の車列前後は、一般車を走らせてはならない。通過に合わせ現地の警察官に指示して規制をかけ、道路をクリアにして車列を通過させる。 区間は未定だが、期間中は1日当たり、首都高速で50%、一般道で30%程度、交通量を制限する。すべて規制してしまえば話は簡単だが、「ただ止めればいいというものじゃない」と石川警部補。全ルートを一度に規制してしまえば、周辺道路も含め、大混乱に陥る。 車列の進む速度と、道路の混雑状況を勘案し、ぎりぎり