斎藤環「2018 この3冊」|松本卓也『享楽社会論』(人文書院)、ヨハン・ノルベリ『進歩 人類の未来が明るい10の理由』(晶文社)、岡﨑乾二郎『抽象の力』(亜紀書房) (1)『享楽社会論 現代ラカン派の展開』松本卓也著(人文書院)(2)『進歩 人類の未来が明るい10の理由』ヨハン・ノルベリ著、山形浩生訳(晶文社)(3)『抽象の力 近代芸術の解析』岡﨑乾二郎著(亜紀書房) (1)ラカン派の俊英による社会論。ラカンを精緻に読み解きながらも原理主義に陥らない柔軟性に新世代の希望を感ずる。アルゴリズム化する思想の潮流に抗(あらが)う主体の思想を擁護する立場から、著者の姿勢は応援したい。 (2)悲観的な未来予測は無数にあるが、人口統計上は、世界はあらゆる面で良くなっている。暴力も差別も貧困も、一〇〇年単位で見れば激減しているのだ。進歩を破壊しないためには、正しい知識の継承が必要と著者は説く。 (3)
著者:大塚 英志出版社:講談社装丁:新書(496ページ)発売日:2016-03-25 ISBN-10:4061385798 ISBN-13:978-4061385795 「とるに足らないもの」たちの遠近法個人的なエピソードから以前、ある論集に新左翼系総会屋雑誌に関する研究論文を寄せた。新左翼系総会屋雑誌の詳細はここでは省く。新興の言論誌が1960年代後半から70年代にかけてぽこぽこと誕生し、どれも経営主体は怪しげなのだけれどそれなりに売れていたくらいにイメージしておいてもらえればいい。サンプルとして僕が主に取りあげたのは『流動』だ。どうにも個人的に気になる雑誌で、すでに図書館や古書で全号通覧していたから執筆じたいは快調に進んだものの、途中、同誌に寄稿経験をもつ批評家にそのことを話したところ、「取るに足らないものを……」と慨嘆されてしまったので、そのエピソードごと文中に記したうえで、「取るに
「畳の縁は踏まない」という行儀作法 昨今、アパートやマンションに限らず、一戸建てでも「和室よりも洋間の数の方が多い」という家が少なくないようだ。たしかに掃除はもちろん、メンテナンスの点でも、和室より洋間の方に分がある。 とはいえ、やはり日本人にとって和室は魅力的な空間だ。真新しい畳の香りは清々しい気持ちにさせてくれるし、寝転がったときの固すぎず、柔らかすぎずという適度な感触は、洋間のカーペットやソファーでは味わえない。 ところで、自分の家に畳はなくても、訪問先の家で畳の敷かれた和室に入ったときに気をつけたいのが、「畳の縁は踏まない」という行儀作法である。 畳は、イグサを編み込んで作られた「畳表」と呼ばれる敷物で板材をおおっている。その縁には「畳縁(たたみべり)」という帯状の布が縫いつけられていて、畳表を留める役割をはたしている。一方、畳縁には装飾の意味もある。たとえば、おしゃれな模様があし
なぜ、本を読むのか? Why do we need to read books なぜ、本を読むのか?本書『読書人カレッジ2022』の執筆者の一人である明石健五は、それを「考えるため」であると言います。 ある未知のものに出会ったとき、そこに驚きと感動が生まれる。そうして、初めて自分なりに思考することができ、それを人に伝えることができるようにもなる。 そういう過程を生きられる人のことを、「知性ある人」というのではないか。では、「知性」を自らのものにするためにはどうすればいいのか。繰り返しになりますが、「読み」「考え」「書く」ことを通してしか感得できないのではないか。 新しい出来事や局面に出会い、答えのない問題を考えることで鍛えられていくものが、確かにある。そういう問題は、すぐれた本の中にいくつも見つけることができます。 繰り返し考えることによって、自分の思考を鍛えていく。それによって、今の世の
【読売新聞】絶対へのまなざし 「親鸞がきみに接近してきたのだ」。この本の冒頭近くにある言葉が、分厚い書物の全体にわたって、底流として流れている。「きみ」は表題どおり「親鸞への接近」を試みつつある著者自身。しかし、親鸞の側が「きみ」を
「天地創造」、「エデンの園」、「カインとアベル」、「大洪水」伝承、「モーセと出エジプト」、預言者と預言の数々……。旧約聖書について断片的なエピソードを知ってはいる、あるいは、それが旧約聖書の記述にもとづくものだということを特に意識せずにたとえ話などとして用いている、ということは、旧約聖書にその源のある一神教の信者の方でなくとも、少なからずあるのではないでしょうか。 初学者も旧約聖書に触れられる 旧約聖書について、体系的でありながら、だけど初学者も頑張れば読めるという概説書はこれまであるようで、なかなかなかったと思います。聖書に親しんだ経験のある人と、そうでない人の(実は私はこちらになりますが)双方に向けてわかりやすく伝えるということが、相当に難しいからでしょう。 今回、NHKラジオ「宗教の時間」のガイドブックで、上智大学特任教授で古代オリエント博物館館長でもある月本昭男さんが、その難事業に
当ページでは、橋爪・大澤による「ふしぎなキリスト教」以外の、良質な入門書を紹介します(書籍紹介ページなので当ページは「ですます」調です)。 - 「ふしぎなキリスト教」が解り易いのだから、細かい少しの間違い(実際には量的に膨大、質的に最悪な間違いが沢山あるのですが)を気にせずに読んでもらえばいいじゃないか、と仰る方が結構巷間にみられますが、それはずっと良質な本を書いている他の人(実際に居ます)に失礼というものではないでしょうか。 - 批判者達は「もっと良質な本がある」事を知っているからこそ、批判しています。 - 一般日本人が「これだからキリスト教ってのはよく解らないんだよね(嘲笑)」という、結論が見えて居る内容の出鱈目な本ではなく、もっと真摯に「キリスト教ってどんな宗教なんだろう」と知りたい人に勧められる本を紹介して参ります。 - (管理人より)ウィキシステムは使いますが、本ページでは「外部
ウィキペディアはドレスがお嫌い? 2011年4月29日、エリザベス二世の孫で、英国王位の継承権を有するウィリアム王子とケイト・ミドルトンが結婚した。この結婚式は非常に晴れがましいもので、世界中で報道された。 多くの人が2人を祝福する一方、王室に反旗を翻す共和主義者は結婚式報道一色でうんざりしていた…のだが、そんな中、晴れがましさや反骨精神とは関係ない問題で沸き立っているコミュニティがあった。 ウィキペディアだ。 ウィキペディアが「コミュニティ」なの?と思う方もいるだろう。ウェブ上のフリー百科事典であるウィキペディアを編集する人のことをウィキペディアンと呼び、ウィキペディアにはウィキペディアンたちのコミュニティがあって、日々、サイト運営のために様々なことをウェブ上で相談している。 英語版ウィキペディアのコミュニティは結婚式のお祭り騒ぎを尻目に、ケイト・ミドルトンのウェディングドレスに関する記
新翻訳聖書事業について 2009年12月の日本聖書協会理事会において、新しい翻訳事業を始めることが決定されました。2010年夏より8年間の翻訳作業を経て、『聖書 聖書協会共同訳 引照・注付き』、『聖書 聖書協会共同訳 旧約聖書続編付き 引照・注付き』が、2018年12月に発行されました。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く