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ブックマーク / finalvent.cocolog-nifty.com (10)

  • [書評] 精神の考古学(中沢新一): 極東ブログ

    中沢新一の近著『精神の考古学』を読むことを勧められたとき、その刹那、「ああ、あれか」という不思議な思いが去来した。ほんの瞬時の直感であるが、二つのことがそこにあった。一つは、これは1983年の『チベットのモーツアルト』の続編であろうということ(すべての面でそうだという意味ではないが)、もう一つは、吉隆明の思想を継いだ著作であろうということ。 そして、書物を手に取り、まえがきに目を向けたときに、私は、すべてがそうであったとでもいう奇妙な祝福のような感じがした。確かにそのとおりだと、瞬時に確信した。さて、私はそれをどのように語ったらよいのだろうか。 書は、読まれるべき書物である、ということは明らかなのに、どのように読まれるべきか、次の言葉が浮かばない。しいていうなら、なんの偏見もなく、なんの憶測もなく、普通に、あたかも河口慧海の『西蔵旅行記』を読むように読むといいだろう、と言ってみたい。そ

    hharunaga
    hharunaga 2024/04/14
    “本書は…『チベットのモーツアルト』の続編的な位置づけにある。…(吉本隆明の)『アフリカ的段階について: 史観の拡張』という書籍の参照はないが、それなくしてもは、本書の思想的な側面の、背景理解は難しい”
  • 書評『世界文学の古典を読む 』(村松真理子・横山安由美): 極東ブログ

    昨日のブログ記事で、大学院で学んでいた二年間は修論研究に没頭していた、と書いたが、コロナ禍で外出は減ったこともあり、オンラインのメディアはよく見ていた。アニメとかドラマとかである。なかでも修論研究に関連するメディアに関心がむいた。そのなかで、これが一番というのが、イギリスBBC制作の全6回のミニシリーズ・ドラマで、ヒラリー・マンテルの原作『ウルフ・ホール』である。修論関連でいうと、ティンダルは話題に登ったものの人物としては出てこなかったのは残念だったが、トマス・モアはかなり焦点が当てられていた。修論でティンダルとモアの論争を論じたが、そのおりはこのドラマの風景がしばしば思い浮かんだ。 そんなふうにこの二年間、修論研究の背景的に、英国の百年戦争から清教徒革命までの時代の関心を深めていた。シェイクスピア観も変わった。シェイクスピアの史劇はこの時代なのだという実感である。それまでは四大悲劇など、

    hharunaga
    hharunaga 2023/03/03
    放送大学のテキストだとのこと。ああ、昔本屋にそういうコーナーがあって、何冊か買ったなあ……。最近はそういうコーナーに行くこともなくなったから、存在をすっかり忘れていたが(汗)
  • [書評] プルーストと過ごす夏(アントワーヌ・コンパニョン、ジュリア・クリステヴァ他): 極東ブログ

    ネットが興隆する前から、読むべき何冊の、といったテーマの話題はあったものだが、ネットの興隆以降はさらに、その冊数に対して、その前提に何かしら、知識や読書経験というものが数量的に伝達できるかのような錯覚があるように感じられる。しかし、読書というのは、おそらく、読む、今読む、自分の人生をその読書の時間に費やす、そうした、その時の私とその一冊のの関係のなかに、あたかも愛の行為というものがそうであるように、あるものだ。そこだけで言うなら、読むべきなどというものはなく、今読まれていると繰り返し読み返されるしかない。それはいつも一冊のとして現れる。 とはいえ、そうした一冊のたり得るは、人の経験というものを人々として広く見渡すなら、古典と呼ばれる書籍のなかで数冊となる。そうした数冊がなんであるかと考えるなら、循環して、読むべき数冊のという幻影に捕らわれてしまうのもしかたがないことだ。

    [書評] プルーストと過ごす夏(アントワーヌ・コンパニョン、ジュリア・クリステヴァ他): 極東ブログ
    hharunaga
    hharunaga 2017/07/06
    「万華鏡のような運動、内的体験に強く突き動かされていたプルーストは、線状的なものである映画は、本質を取り逃すと確信していた」(クリステヴァ)
  • 安保法制が否決されてもおそらく何の変化もないだろう: 極東ブログ

    安保法制については、国民が民主主義の手順に沿って合意していけばよいことなので、特に言及すべきことはないが、この間、ちょっと気になったことなどもあったので、備忘をかねて書いておきたい。 個別名を出すのもなんなのでぼかすが、この議論に比較的熱心に言及している論者が、この法案(法改正)の原文を読んでいないようだったのだったの知って意外だった。すでに書いたように、私はこうした事態ではとりあえず一次資料に当たることにしている。今回の法案についてもそうである(参照)。そして思ったことはとても難しいということであった。自分の理解を超えていると言っていい。このことはすでに書いたので繰り返さないが、それでも原文を読めば簡単にわかることがあった。私のごく基的な誤読でなければ、「集団的自衛権」という言葉はこの法案には含まれていないということだ。 ではこの法案は「集団的自衛権」について扱っていないのかというとそ

    hharunaga
    hharunaga 2015/07/16
    可決されたら大きな変化だとして問題になってるのに、否決されても従来と変わらないという方に話をずらして、大した問題じゃないよと言うのが「考える生き方」なのね…。
  • [書評]近代書き言葉はこうしてできた(田中牧郎): 極東ブログ

    近代日語がどのようにできたか。これがよくわからない。特に近代日語の書き言葉がどのように成立したのか、少なくとも関心をもってきたはずの私にはよくわからない。研究はされているんだろうが、ざっと見たかぎりでは文人の文体論のようなものが多く、それだと言語現象の説明とは違う。 特に気になっていたのは、「だ」がどこから生じたか、なのだ。これがよくわからないのだ。 という、文末の「だ」である。 常体というやつで、もうひとつ「である」がある。「吾輩はである」の「である」である。現代の常体だと「吾輩はだ」とも言える。では、「である」と「だ」はどこから生じたいのか。 もちろん、まったくわからないわけではない。辞書を引くとそれなり説明はあるにはある。デジタル大辞泉(参照)は比較的詳しい。 [助動][だろ|だっ・で|だ|(な)|なら|○]《連語「である」の音変化形「であ」がさらに音変化したもの》名詞、準体

    [書評]近代書き言葉はこうしてできた(田中牧郎): 極東ブログ
    hharunaga
    hharunaga 2014/04/14
    大正時代の演説を契機とみるのは面白いが、演説では「〜である」「〜です」などの方が多そうに思えるから、「〜だ」はそれを新聞・雑誌にまとめるために作られたのかな…。
  • とりあえず30日間ピンズラー方式でフランス語を勉強してみた: 極東ブログ

    特に深い理由もないのだけど、とりあえず30日間フランス語を勉強してみた。しいていえば、脳トレになるだろうかという思いだった。 脳トレというのは筋トレからの連想である。筋トレを初めてもうすぐ5か月。成果は依然、あるような、ないようなという程度。なので、やりかたは間違っているのかもしれないし、そもそも、自分の年齢を考えたらそんなものさ、というのはあるかもしれない。 それでも、この年になっても、筋トレやってみるもんだなという実感はある。あると言えばある。もともと太っているタイプではないが、さらに身体がしまった感じはする。脚はかなり軽くなった。腕の筋肉は思ったほど付かないが、肩の筋肉が少し付いてきたのか、衣服が着やすい。姿勢って肩と胸の筋肉のことだったのなと思う。それと筋トレに合わせてやっている有酸素運動の成果なのかわからないが、いまだに半袖で通している。で、今度は脳トレ。 脳トレが必要なのか。ボ

    hharunaga
    hharunaga 2013/11/03
    ダウンロード版(MP3)があって、CD版より安いですね→ http://www.pimsleuraudio.com/
  • 「アベノミクスが新たなリスク」の意味: 極東ブログ

    IMFチーフエコノミストのブランシャールが「アベノミクスが新たなリスク」だと指摘しているというニュースが流れた。なんだろそれと首をかしげていたが、どうも大した話ではない。この手の話題にありがちにスルーしておくかとも思ったが、ちょっと気になることもあるので、簡単にメモしておきたい。 気になるというのは、参院戦の時節でもあり、自民党や安倍政権を批判したいがための人がこのネタを持ち出して有権者からさらなる失笑を受けるようなことになるのも、どうかなと思うからだ。 このニュースについてわかりやすい記事は、7月10日付け朝日新聞「「アベノミクスが新たなリスク」 IMFが初めて指摘」(参照)である。 「アベノミクスが新たなリスク」 IMFが初めて指摘 【ワシントン=山川一基】国際通貨基金(IMF)のブランシャール調査局長は9日、安倍政権の「アベノミクス」が世界経済の「新たなリスクだ」と指摘した。一方、I

    hharunaga
    hharunaga 2013/07/14
    「アベノミクスをまともに批判するなら、ブランシャール氏のように、財政出動を早急にきちんと実施しなさい、また女性の社会進出を進めるように保育制度を完備しなさいということ」
  • 北朝鮮が最大級の軍事機密を公開した: 極東ブログ

    北朝鮮が米国を標的とした攻撃態勢に入るなか、その最大の軍事機密が、威嚇的な意図もあってか、国際的に公開された。その軍事的な意味合いについて簡単に考察を加えておきたい。まず状況の整理をしておこう。 国内でもすでに一昨日のNHK北朝鮮 「米攻撃できる状態で待機指示」] (参照)で報道されているが、米軍が韓国軍との合同軍事演習でB2ステルス爆撃機を投入したことを受け、北朝鮮では3月29日未明、朝鮮人民軍の作戦会議が緊急招集された。北朝鮮の国営通信によると、会議で金正恩第一書記は「米国をミサイルで攻撃できる状態で待機するよう指示した」。 報道で注目すべき点は、通常、軍事機密と見られる具体的な敵国への攻撃の手法までもが公開されたことだ。明白に米国土が目標となっている。 この中でキム第1書記は、アメリカ土と、ハワイ、グアムなどの太平洋地域や韓国にあるアメリカ軍基地を、「いつでもミサイルで攻撃でき

    hharunaga
    hharunaga 2013/04/01
    勝手に弾道ミサイルと解釈したようだが、これは巡航ミサイルだから、メルカトル航法で飛ぶんでしょw 今は長距離用には使われないが、想定外の方向から来る不意打ち効果はまだあるかもw
  • [書評]天皇はなぜ万世一系なのか(本郷和人): 極東ブログ

    「天皇はなぜ万世一系なのか」という問いかけは魅力的だし、新書表紙の半分を覆うほど広い帯にある「世襲か、実力主義か」というキャッチフレーズも書のガイドライン的に添えられたものだろう。結論からいうと、若干だが、ほぉと驚く意外な答えが書かれてはいる。そういう考えもあるのかな、というものだ。同時に多少がっかりもする。おそらくこの問いに魅せられた人に納得がいくというものでもないだろう。もちろん納得のいく答えがあったとして、それがどれほど真理を射貫いているかは別として。 帯にはさらに「皇室、貴族、武士、高級官僚の出世と人事から、「日権力構造」最大の謎に迫る」とあり、これも補助的なフレーズなのだが、すでに天皇の問題が日権力構造という一般構造に吸着されていることが伺われ、どうやら書のテーマは先の問いに焦点化していないか、散漫なのではないかという印象を与えてしまう。読後の感想としても、日史に興味の

    hharunaga
    hharunaga 2012/02/18
    「万世一系に特段の理由はない、というのは、これはこれで面白い視点であり、若干ほぉと思わずにもいられない。」「天皇家が男系に見えるのは、ただの結果論、特段の理由はない」
  • [書評]謎とき平清盛(本郷和人): 極東ブログ

    来年のNHK大河ドラマ「平清盛」の時代考証に史学者の郷和人氏が入ると聞いて、その趣向の書籍だろうと、とりあえず買ってみた。当たりだった。書籍としての構成、特に章構成はやや緩くも思えたが、随所にエキサイティングな話題がある。歴史愛好家にはたまらない一冊と言えるだろう。 書を読み始めて何より「あっ」っと不意を突かれたのは、「平清盛」というのは天皇制の物語なのだということだ。言われてみれば当たり前でもある。親皇として表面的に対立した平将門などのほうが天皇制を外的に意識しやすいが、天皇制の内実を捉えるという点では「平清盛」はその特徴をよく表すことになる。 おそらくだが、お茶の間的にはさほど違和感なく受け入れられてしまうだろうが、天皇家を「王家」として扱うのはNHK大河ドラマでは初めてのことになる。天皇家は王家で当たり前。皇室でも「天皇」でもないのである。そういう感覚がようやく日国市民の常識に

    hharunaga
    hharunaga 2012/01/08
    “お茶の間的にはさほど違和感なく受け入れられてしまうだろうが、天皇家を「王家」として扱うのはNHK大河ドラマでは初めてのことになる。”
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