◆本稿では、待機児童問題が解消しない理由について、指摘されている保育士不足や高コストで増設が難しい認可保育所に関する議論を、海外の事例に触れながら整理する。保育サービスを市場に任せた運営によって行ってきた米国、公立保育所を中心に就学前教育を普及させてきたスウェーデン、そして民間を中心に保育・教育環境を整備してきた英国の改革を比較することで、日本の保育政策における課題を探りたい。 ◆諸外国においても、短期間で保育の量的な拡大を実現するにあたり、民間セクターが果たした役割は大きく、保育サービスの量については、民間を中心に拡充を図ることが必要と思われる。ただし、単に利用者を市場に放り出すのではない、質を保証するような仕組みを整備していくことがポイントとなろう。また、民間中心に保育サービスの整備が行われる場合、保育料の上昇が子育て世帯に過度な負担とならないよう、所得比例と上限価格を組み合わせた負担
![待機児童問題が解消しない理由 | 大和総研](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/f4dcce8cd5d8bc825c6c31ac2e35cc8b62bfde4c/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.dir.co.jp%2Fcommon2%2Fimg%2Flogo-ogp-dir.png)