和歌山県議ら8人が大阪地検特捜部に逮捕された脱税事件で、10億円超の巨額遺産を手にした相続人のグループは、税制上の優遇措置が保障された社会福祉法人を悪用しようとした。近年はこうした公益性の高い法人が水面下で売買され、単なる「ハコ」として脱税などに悪用されるケースも目立つ。来年1月に運用が開始されるマイナンバー制度では、個人資産への監視が強まることから「公益法人を隠れみのにしたマネーロンダリング(資金洗浄)の動きが加速するのでは」との懸念も出ている。(時吉達也、田中俊之) 「寄付ありき」 捜査関係者らによると、遺産相続人の高木孝治容疑者(73)らのグループが、共犯の和歌山県議、花田健吉容疑者(57)を通じて接近した社福法人は少なくとも4つ。他に学校法人も候補に挙がっていた。事業目的を問わず、「まず寄付ありき」だったことがうかがえる。 グループの念頭にあったのは租税特別措置法の70条の規定とみ