組織業績と部下育成を両立するマネジャーを対象に,中堅社員の経験学習の促進と内省支援の把握を目的として半構造化インタビューを行い,M-GTA によって分析した.その結果,マネジャーは,仕事に関する展望と,部下育成に関する展望を統合した2~3年程度の中期的な計画にもとづき,PDCA サイクルに沿った業務マネジメントを進めていた.そして,そのマネジメントプロセスを通じて,中堅社員を組織が求める役割期待や当初の計画と,実際の行動や結果とのギャップに向き合わせていた.さらに,中堅社員の気づきが最も深まるタイミングを見逃さずに経験の意味づけを促す働きかけを行っていた.また,この働きかけは,マネジャー自身が能動的に内省し,自分のマネジメント行動の改善や育成の意味づけを深めることによって促進されていることがわかった.最後に,中堅社員の経験学習と内省支援を効果的に行うための効果的なマネジメントのあり方を考察