シリーズ第4弾は、フランス在住の当機構海外情報協力員である鈴木宏昌氏に執筆をお願いした。 本稿は、フランスの国家公務員の幹部職員に関する資料や研究および公務員省担当者へのインタビューに基づきとりまとめられたもので、上級公務員の身分と採用、賃金と労働条件を概観し、公務員の働き方について日仏の比較分析をしている。なお、本稿はフランスの国家公務員の働き方に対する政府の公式見解や公務員全体の働き方を網羅したものではないことにご留意頂きたい。 (掲載日:2022年8月23日) わが国では、将来の行政の中心を担うべき国家公務員の幹部候補、いわゆる公務員のキャリア組の中に、何年か役所で働いた後、その長時間の労働実態や自由度の少ない仕事という厳しい現実の前に、モチベーションを失い、退職する人が増えていると言われる。将来の行政の中心となる人が役所を去ることは、その個人にとっても国にとっても大きな損失であるこ