大学のあり方を根底から変質させかねない制度改定だ。臨時国会の会期は限られる。どたばたと法案を成立させてはならない。 政府が提出した国立大学法人法の改定案である。既に衆院で可決され、参院で今週、審議に入る見通しだ。 大学の運営に強い権限を持つ合議体「運営方針会議」の設置を、規模が大きい国立大学に義務づける。学外者が委員に加わることを想定し、選任には文部科学相の承認を必要とする。 大学運営への政府の介入につながり、大学の自治が実質を失う恐れがある。国家による学問研究の統制、支配に道を開く重大な懸念をはらむ法案である。 運営方針会議は、大学の中期目標・計画や予算を決め、運営の改善を学長に要求できる。学長の選考、解任にも発言権を持つ。それほど強大な機関をなぜ大学に置かなければならないのか。政府から納得がいく説明はない。 設置する大学は政令で指定し、当面は東京大、京都大、大阪大などを対象とする。他の
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