今年の夏、大いに話題となった「宿題代行業者」をどう考えるか──多くの専門家を巻き込んだ大議論に発展している。「詐欺的行為」と批判的な意見もあれば、「合理的」との意見もある。 「代行業者」に対してはこのように活発な議論が展開されているが、他のものではどうだろうか。夏休みに百貨店に行けば、自由研究向けに混ぜるだけで完成するような科学実験キットや工作キット、昆虫の標本などが販売され、親たちがこぞって買っている。ネット上では「読書感想文の文例」や「プリントして写すだけの絵の見本」などが集められた宿題支援サイトが多くのアクセスを集めている。 それらを利用する親と代行に依頼する親とで、どれほどの差があるのかを論じなければ、「代行悪玉論」は空疎だ。工作キットのように一手間でも加えれば容認されるなら、代行業者に依頼したものに同じく一手間かければ許されるともいえる。 元杉並区立和田中学校校長で著述家の藤原博