「食べ物をすくう部分が非対称なスプーンなんてタブーもいいところですよ」。金属洋食器を作る職人をこう不安がらせたカレー専用スプーンがヒットしている。「サクー」という名のこのスプーンを製造するのが新潟県燕市の山崎金属工業だ。 数百円程度が多いスプーンの中で1350円(税込み)という比較的高めの価格ながら、7月31日に発売したところ約3カ月でシリーズで1万本を売り上げる人気商品になった。 ヒットの理由はスプーンの形状にある。上の写真にあるように、食べ物をすくう部分の先端がヘラ状になっている。カレーの具材である大きな肉やニンジンなどを食べやすい大きさにサクッと切るためだ。カレー皿に少し残ったご飯もすくい取りやすい。 非対称にしたのは口に入れたスプーンを抜きやすくするため。「カレーライスがどのように食べられているのか。市場調査を繰り返して、顧客の様々な要望を徹底的に研究して商品化した」(山崎金属工業