不動産の価値はずっと上がり続ける────そんな1980年代後半の“土地神話”が脆くも崩れ去るさまを、平成の日本人は目撃した。今また、令和の日本で続く不動産価格の高騰。「バブル超え」ともいわれるこの活況もまた、終焉を迎えるのか。財界の中枢が、バブル崩壊への対応を急ぐ動きをキャッチした。 経営トップに直撃すると「何も話せませんよ」 幅広い産業に裾野を広げ、その動向が日本経済の浮沈を左右するともいわれる、ある巨大企業グループ。5月某日、そのグループ企業の最高幹部らが集まる会で、一編のレポートが共有された。 A4判で10枚ほどのレポートは「今後の不動産動向について」といった淡泊な見出しだったが、その内容は日本の不動産バブル崩壊を警告するものだったという。会に参加した人物から内容を聞いた経済誌記者が言う。 「レポートでは、世界の不動産市場が冷え込んでおり、米国の商業用不動産がリーマンショック時以来の