【ワシントン=三井誠】人間のiPS細胞(人工多能性幹細胞)をブタの受精卵などに入れ、人間の細胞が入ったブタの胎児を作ることに初めて成功したとする研究成果を、米カリフォルニア州のソーク研究所などのチームが発表した。 ブタの体内で人間の臓器を作り、移植する医療の実現につながる成果だが、倫理的な問題もはらんでおり、議論を呼びそうだ。論文は26日の米科学誌「セル」に掲載される。 研究チームは、人間のiPS細胞を注入したブタの受精卵など1466個を、41匹のブタの子宮に戻し、3~4週間成長させた。このうち186個が成長して胎児となり、67匹の胎児で人間の細胞が見つかった。ただし研究者によると、数はブタの細胞10万個あたり人間の細胞1個以下で、ごく少ないという。