6月6日は「梅の日」。産地・和歌山県では、梅干しを保存のきく「防災品」として首都圏に売り込みを始めている。昨年末には同県みなべ町と田辺市の優れた梅を生産するシステムが、世界農業遺産に選ばれたばかり。地元ではビジネスチャンスの期待が高まっている。 東京都江東区の防災倉庫に今年2月初め、和歌山県産の梅干し4285粒が納入された。高い品質を誇る「南高梅(なんこううめ)」の発祥の地、みなべ町を管内に持つJA紀州(本店・御坊市)が昨年から売り出した、備蓄用の梅干しだ。塩漬け後に天日干(てんぴぼ)しした「白(しら)干し」と呼ばれる品で、塩分の濃度は約20%と高く、賞味期限が5年間と長い利点を持つ。 梅干しの保存性の高さは、昔から知られていた。江戸時代の書物には戦国時代、陣中食として携帯されたと記され、明治の日露戦争でも軍需品として重宝された。みなべ町のうめ振興館には、100年以上前の梅干しが展示されて