「もうあかん やめます!」の垂れ幕を掲げながら、長年営業を続けた名物店が消える。大阪市北区の靴店「シューズ・オットー」。経済の荒波にもまれながら、ユニークな宣伝文句で客を引きつけたが、店主の竹部浅夫さん(74)が体調を崩したこともあり、今月20日、ほんまにほんまの店じまいとなる。 大阪・西天満の交差点角。古ぼけた黄色いテントのひさしには、よごれで薄くなった「店じまい売りつくし」の赤い文字。ウォーキングシューズ千円、スニーカー500円――。床面積33平方メートルの店内には格安商品がずらり。隅には靴箱が積まれ、客が数人入ればもういっぱいだ。 1月下旬のこの日。閉店を知った常連客が大勢訪れた。男性客(65)は「通天閣やグリコの看板に負けない大阪の誇りなんやけどな」とテントを見上げた。 39年前、店主の竹部さんは、飲食店や金物屋などが立ち並んだ西天満に店を構えた。安売りにこだわり、いつも赤字ぎりぎ