2005年11月03日22:57 カテゴリ書評/画評/品評 戦後一世紀 - 書評 - 坂の上の雲 といっても、日露戦争から数えてなのだけど。 坂の上の雲 司馬 遼太郎 時期といい戦歴といい、まさに20世紀の戦争のあり方を決めた戦争だったように思われる。キーワードを思いつくまま挙げてみる。 「最後の絶対王政国家」vs「最新の国民国家」 帝国主義 大量破壊兵器 「メディアの戦争」 権威主義vs.実力主義 この戦争を描いた本として日本で筆頭に挙げられる本書だが、ファンから石が飛ぶのを覚悟して言うと、司馬遼太郎は小説家としては稚拙だと思う。文章はあっちに飛びこっちに飛びで、筋を追うのははなはだ困難だ。小説なのにところどころで著者の独白が入るのも興ざめものだ。秋山兄弟を主人公に据えたのは慧眼だが、いくら秋山真之の学友だからといって、正岡子規まで描き込むのは焦点ぶれぶれという感じである。 しかし、その