元NHK記者の告白(2/3) 大手新聞社から転職し、NHKへ私が入局したのは1997年だった。昨年の夏に辞職するまで23年間をNHKの人間として過ごしてきた私が、現場で見た「違和感」を紹介していきたい。今回取り上げるテーマは「選挙」と「過労死問題」である。 「選挙のNHK」には疑問 NHKの報道を語る際、内部からはよく「災害のNHK」と「選挙のNHK」の2枚看板を自負する声が聞こえる。だが、新聞社の選挙報道も経験した身からすると、たしかに災害報道は他社の追随を許さないと言えるが、「選挙のNHK」には疑問を感じざるを得ない。 一言で言えば、NHKの選挙報道は「当選確実を早く伝える報道」である。この選挙で何が問われ、有権者に何を伝えるべきかという本質的な議論はほとんど行われず「誰が当選するか」に終始しているのが実態だ。 新聞社でも「当選確実」を伝える準備はするが、他社としのぎを削る勝負所は、む