“私は、ある種の精神科医と話していると面食らうことがある。「自傷行為は閉鎖病棟の枠の中で治療すれば改善する。多くは医原病だ」「自傷患者は都合が悪くなるとすぐに解離する。あれは疫病利得を狙った詐欺だ」。彼らはこの嗜虐的な治療哲学を得々と語る。 残念なことだ。いやしくも心の治療に携わる者として、肝心な何かが欠落している。強固な治療構造のなかで自傷がコントロールされても、それと心の回復は次元が異なる。人に自分の感情を伝えるのを断念しただけのことなのだ。もちろん、解離や自称には疫病利得があるというのは部分的には正しい。確かに、腕力や言葉でかなわない相手に「あなたに屈服しない」意思を伝えるという利得がある。そんな風になかなか「屈服しない」から、我々は自傷行為に苛立つわけだ。だが苛立つまえに、なぜ彼/彼女が、意思表示のために、そのようにまわりくどい方法(・・・・・・・・)を使わなければならなかったの