社説 医療ネグレクト・子供の命守る仕組みを2007年1月29日 親が子供に治療を受けさせない「医療ネグレクト」が深刻化している。厚生労働省が実施した初の実態調査では、病院が「虐待」として児童相談所に通告したものの、十分対応できず、幼児を死亡させたケースが2件起きていた。 いずれも子供の「治療を受ける権利」を侵害する事態といえ、放置できない。医療現場から児童相談所に通告されるケースは「氷山の一角」とされており、さらに調査範囲を広げて実態を把握する必要がある。子供の命が理不尽な形で奪われることのないよう、法的対応も含めて状況改善の仕組みを構築してほしい。 医療ネグレクトは児童虐待の一つである養育拒否(ネグレクト)の一形態で、親が子供に必要な治療を受けさせないことをいう。病院に連れて行かない、薬をのませないなどのほか、合理的な理由なく手術を拒否するなど子供の生命に直接かかわることもある。