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ブックマーク / www.shinjuku-shobo.co.jp (1)

  • 鷹木敦/コラム3

    『座敷牢』 「被監置者ハ榮養不良、裸體、不潔症甚シク、惡臭ヲ放ツ。言語錯亂シテ談話通ゼズ。撮影セントスレバ猿ノ如く柵ニ飛ビ附キテ衒奇證状ヲ呈ス」 大正時代に記録された、ある在宅精神病患者の姿である(1)。「猿ノ如ク」などとあるが、そういう時代なのだ。記録を残した東京帝国大学の呉秀三は、人道的精神科医療を先唱した人物である。それでは、「柵ニ飛ビ附キテ」とは一体何か。在宅であるにも関わらず、患者の前に飛びつくべき「柵」があるとは、何を意味するのか。 「座敷牢」だ。自宅の座敷や土間、或いは敷地の隅に、精神病の家族を幽閉する為の設備を設けるのである。様々な形態の物があったが、概ね「牢屋」や大型の「ケージ」のような物を想像して頂けばいい。事も排便もこの中でなされる。かつて日には、夥しい数の「座敷牢」が存在した。明治33年制定の「精神病者監護法」の下、「社会防衛上の理由」と精神科病床不足とから、

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