(産経新聞) 男性の100人に1人といわれる無精子症のうち、3割近くの患者に存在する精子の前段階の細胞「円形精子細胞」で国内初の出産に成功したと、北九州市八幡西区のセントマザー産婦人科医院が10日、発表した。12日に札幌市で開かれる日本産科婦人科学会学術講演会で発表する。 田中温(あつし)院長(63)によると、今回行われたのは精巣の組織の中から円形精子細胞を採取し、ガラス管で卵細胞に注入する顕微授精。受精した卵子を母親の子宮に着床させ、昨年6月に日本初となる女児が生まれた。 10日までに延べ856回の治療を行い、80人(男児45人、女児35人)の出産に成功した。このうち3人には心疾患などの先天性疾患がみられたが、いずれも治療可能で、現時点で目立った異常はみられないという。 円形精子細胞による出産は、1996年にフランスで世界初の成功例が報告された。しかし、成功率の低さから海外では2000年