話を本題に戻す前に、回り道をして論じておきたい問題がもう一つだけ残っている。 それは「青年期にBPDの症状がみられた場合に、それをどのように捉えるか」という問題である。 ここでいう青年期とは、思春期の発現から成熟にいたるまでの、身体的ならびに心理的発達が生じる時期をさし、具体的には男性では13歳頃から、女性では11歳頃から早期成人期に至るまでの期間をさしている。 アメリカ精神医学会の診断基準であるDSM-4-TRでは、充分な臨床的評価がなされること、症状の持続期間が少なくとも1年以上であることを条件として、18歳以下の患者に対してパーソナリティー障害という診断をつけるのを一応認めてはいる。 「一応」という断りを入れたのは、この基準をどのような場合に青年期の患者に当てはめて良いかについては依然として曖昧であり、多くを臨床家の判断に委ねていたためである。 実情はどうであったか。 青年期はパーソ
慢性疲労症候群(CFS)の病因としては、これまでウイルス感染症説、内分泌異常説、免疫異常説、代謝異常説、自律神経失調説などさまざまな学説が報告されてきた。 我々は、1990年よりCFS患者の診療と病因・病態の解明を目指した臨床研究を行なっていとところ、CFS患者にみられる種々の異常は独立して存在しているのではなく、お互いに関連してカスケードを形成していることに気付いた。そこで、ここではまず慢性疲労の代表的な病態であるCFS患者にみられる代表的な異常をいくつか紹介し、その異常がどのように関連し慢性疲労に結びついているのかについて紹介する。 1.生活環境ストレスの関与 慢性疲労症候群の誘引には生活環境要因(ストレス)が関係していることが明らかになっている。以前、大阪大学付属病院に通院中のCFS患者71名と年齢・性の一致する健康者223名に対して、社会的再適応評価尺度を用いた「人生の出来事」型ス
The .gov means it’s official. Federal government websites often end in .gov or .mil. Before sharing sensitive information, make sure you’re on a federal government site. The site is secure. The https:// ensures that you are connecting to the official website and that any information you provide is encrypted and transmitted securely.
少し前に、twitterで簡単に紹介した論文の原著を手に入れたので、まとめてみた。 Am J Psychiatry 2011; 168(1): 65-72 Childhood Trauma and Children’s Emerging Psychotic Symptoms: A genetically Sensitive Longitudinal Cohort Study 精神病性障害と非遺伝性の要因の関連の報告は増加し、小児期のトラウマと精神病の関連も言われているが、規模が小さかったりで、しっかりとしたものはあまり出ていない。今回、我々の小児期のトラウマと、その精神病性障害への発展との関連の理解を深めるため、6つの研究けいかくを立てた。 1. 小児の精神病性の症状を測定する。 2. トラウマのタイプを受けた衝撃によって分類した。 3. 前方視的に、母親からの小児期のトラウマの報告と、本
Japanese ADNI project January 2011, PI Takeshi Iwatsubo, Univ. Tokyo Background: In view of the upcoming clinical trials of disease-modifying drugs for Alzheimer’s disease (AD), there is a compelling need for the establishment of a complete set of surrogate biomarkers that reflect and predict the progression of AD, especially conversion from mild cognitive impairment (MCI) to AD. For this purpose
前の記事 早送りで見る「天空のガンマ線」:またたくパルサーたち ソマリア海賊が撮影、船上の動画(独占映像) 次の記事 脳の形成に貧困やストレスが影響、記憶力を阻害 2009年4月13日 Brandon Keim Flickr/ActionPixs (Maruko) 貧困のなかで育つということは、単につらい子ども時代を過ごすということだけにはとどまらない。脳にも悪い影響を与える可能性がある。 低所得層および中所得層の学生における認知力の発達を扱った長期の研究で、子ども時代の貧困と生理的ストレス、そして成人になってからの記憶力との間に強い結びつきがあるという結果が発表された。 3月30日(米国時間)にオンライン版『米国科学アカデミー紀要』(PNAS)に発表されたこの論文は、「慢性的に蓄積された生理的ストレスという視点に立つと、貧困がいかに脳に影響し学力を妨げる結果を招くかを解明する、説得力のあ
前の記事 リビア:反政府運動と弾圧をGoogle Mapsでマッピング 幼児教育が人生に与える影響:研究結果 2011年2月23日 サイエンス・テクノロジー コメント: トラックバック (0) フィードサイエンス・テクノロジー Jonah Lehrer 米軍基地付属の幼稚園で本を読み聞かせるオバマ大統領夫人。画像はWikimedia 政府の財務状況がますます乏しくなる中で、社会にとって有効な公共への投資は何かについての判断が重要になってきている。 シカゴ大学の経済学者でノーベル賞受賞者のJames Heckman(ジェームズ・ヘックマン)氏と、ペンシルベニア大学の経済学者Flavio Cunha氏が2010年7月に発表した論文は、そのような賢い公共投資の例を挙げている。幼稚園教育だ。 研究者たちは広範な調査結果を引用しているが、最も印象的なものは、幼児教育の長期的な影響を追跡した調査だ。例
Am J Psychiatry 164:929-935, June 2007 doi: 10.1176/appi.ajp.164.6.929 © 2007 American Psychiatric Association
Survival probabilities for (A) the diagnosis of major depression and/or dysthymia and (B) suicide attempts during assessment years 6 through 14 (spanning 9-18 years of age) among comparison children and adolescents (n = 123; 0) and children and adolescents who met criteria for the combined (n = 85; 1), predominantly hyperactive-impulsive (n = 27; 2), or predominantly inattentive (n = 13; 3) subtyp
●統合失調症からの回復 ワーナー R. 著 西野直樹・中井久夫 監訳 判型: A5 頁数: 456 価格: 7,875円(税込) ISBN(旧): 【4-7533-0502-3】 ISBN(新): 【9784753305025】 刊行年: 2005年4月23日 目次● 序文 謝辞 はじめに 第Ⅰ部背景 第1章統合失調症とは何か 第2章健康・病気・経済 第Ⅱ部統合失調症の社会経済学 第3章統合失調症からの回復 第4章脱施設化 第5章狂気と産業革命 第6章労働,貧困,統合失調症 第7章第三世界の統合失調症 第8章西洋社会の統合失調症者 第9章統合失調症の発現率 第Ⅲ部治療 第10章抗精神病薬:使用,乱用,非使用 第11章働くこと 第12章統合失調症にかんする差別の廃止 他 共訳● 岩井圭司・柿木達也・北村 登・九鬼克俊・小林俊三・塩山晃彦・白川
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く