厚生労働省の毎月勤労統計で、賃金実態が見えない状況が続いている。5日公表の1月分確報は、現金給与総額(名目賃金)が前年同月比0・6%減と18カ月ぶりにマイナスになったが、1月に調査対象事業所を入れ替えた影響とみられ、公式値より実勢に近いとされる「参考値」は0・6%増とプラスだった。公式値が実勢を反映しない状況は今後も続く見込みで、エコノミストには不満の声が根強い。昨年1月の統計作成手法変更の妥当性があらためて問われそうだ。 1月分確報の名目賃金の伸び率は、先月公表された速報の1・2%増から大きく下振れ。速報では1月の調査対象入れ替えの影響が反映されていないが、確報では入れ替えによって賃金が低い事業所が増えたことで伸び率が押し下げられたとみられる。 同統計では昨年1月以降、算出に使う労働者数データの更新や2004年から続いた不正調査の数値補正などの影響で賃金伸び率が上振れしていたが、そうした