安倍晋三元首相の非業の死からまもなく1カ月がたつ 。国葬の是非や「政治と宗教」をめぐる問題で世間はなお騒がしいが、そろそろ安倍政治を客観的に検証するころだろう。 政治主導のマクロ経済運営 安倍政治といえば、憲法改正への執念、日米安保体制の強化、地球儀を俯瞰(ふかん)する外交、そしてアベノミクスの4本柱が思い浮かぶ。 いずれも膨大な検証を要するテーマだが、このうちアベノミクスが前の3つと異なるのは、それまで テクノクラートに任せてきたマクロ経済政策の分野に政治家が旗を立て、自らレールを敷いたことにある。しかも、その路線はポスト安倍の2代の政権に引き継がれ、現在も継続している。 もともと政治主導で進む外交安保と異なり、マクロ経済政策には高度な専門知識が求められる。このため、アベノミクスの評価は国内でも真っ二つに分かれ、今なお激しい論争が続く。筆者自身、現在の異次元緩和が正常化されるまでアベノミ