岸田政権が掲げる防衛力の抜本強化で、政府・与党内に防衛費の財源の一部を赤字国債でまかなう案が浮上している。防衛費を大幅に増やす分、必要な財源も大きくなるが、歳出改革や増税では限界があるためだ。戦時国債の教訓を持つ日本では異例の対応といえ、財政規律を損なうことになりかねない。 岸田文雄首相は28日、研究開発やインフラ整備などを加えた安全保障関連経費を、2027年度時点で今の国内総生産(GDP)比2%とするよう鈴木俊一財務相と浜田靖一防衛相に指示した。約4兆円ほどの増額が見込まれる。 その財源には歳出改革や増税が考えられている。法人税や所得税などが増税の候補にあがるが、与党内には物価高に苦しむ今の経済状況や内閣支持率では「増税をできるような状況ではない」(自民党幹部)との声が大きい。 政府は歳出改革を優先し、外…