たいていの人は「いい話」「美談」が好きだ。 心温まるエピソードを聞いて笑ったり泣いたりしてカタルシスを得る。 それは何も悪いことじゃないけれど、残念ながら世間で流通する「美談」には少なからずダメなものが混じっている。 「ニセ科学」の真似をして「ニセ美談」と呼ぼうかとも思ったが、それだと「事実を偽っている」という意味になる。私が問題にしたいのは「仮に事実であっても、多くの人が感動しても、それでも問題がある『美談』」だ。 とりあえず「ダメな美談」と呼ぶことにする。 とはいっても、考えてみればたいていの美談にはどこかしらダメな部分がある。 「不良少年が人助けした」とか「事故が起きて勇気ある人が人命救助した」という話は美談だ。だが「いいことしても不良だろ」とか「そもそも事故が起きたのが問題だ」と批判することはできる。あまり厳しく言うと「美談なんて世の中には存在しない」ということになってしまう。それ
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