クラスに、必ずひとりは、人気者の女の子っているじゃない?私は、そういう女の子たちを、すごく斜めに見てたね。本当は、こうこうこうのくせして、いい子ぶるんじゃないよ、とかね。 全然目立たなくてさ、欠席しても気付かれないタイプ。私は、自分の立場をそういうふうに持って行くことに、すごく満足してた。私のこと、全然目立たないどんくさい子だと思ってるでしょ。でも、クラス全員の心の中を取り出して並べたら、一番、目立っちゃうのは、私の心なんだよ、なんて思っちゃって。見えない所でいつも私は皮肉に笑ってたね。 わー、陰険!! って私が言うと、あら、それってすごいことよ、と、ママは溜息をついている。私さあ。と、ちかは続ける。 太宰治の「人間失格」を読んだ時、思わず、あっと声を上げたね。あの中でさ、優等生の主人公が、鉄棒にわざと失敗して、皆の笑いを誘うところがあるんだ。で、クラスの連中は快くだまされるんだけどね、そ
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