かつてと言っても1980年代のことですが、「ふくい国際ビデオビエンナーレ」で初期ビデオアート作品を回顧する特集が組まれたことがあります。ビデオが個人でも扱える新しいメディアとして普及し始めたのは1970年代で、80年代当時から見て約10年前を振り返り、その意義を検証する試みでした。80年代はナム・ジュン・パイクが来日するといった出来事もあり、ビデオアートが一種の社会的ブームとなって、広く一般からも注目されていた時代です。しかしながら初期作品を見る機会はほとんどなく、この特集は非常に貴重なものとして高く評価されました。 70年代の作品は、ビデオテープの編集がまだ一般向けの機器では困難だという、技術的な限界はあるものの、それを逆手に取り事件現場を長廻しで延々と撮り続ける等、より根源的にメディアと向き合う姿勢が鮮明に表れていました。しかし作品の中には、画像が激しく乱れ、ほとんど何が写っているのか