「瀧口修造とマルセル・デュシャン」第6回 土渕信彦 6.デュシャンとの出会い(1958年) 今回は1958年の欧州旅行と、その際のデュシャンとの出会いについて述べる。第29回ヴェネチア・ビエンナーレの日本代表兼審査員を務めることとなった瀧口は、5月25日、羽田空港を出発した。副代表は東野芳明と福沢一郎だった。ビエンナーレ後も各地を回り、10月12日に帰国した。主な旅程は以下のとおり。慶應義塾大学アート・センター編『瀧口修造1958―旅する眼差し』(慶應義塾大学出版会、2009年10月)を参考にした。 5月25日、羽田発(図6−1)。26日〜30日、ローマ滞在。 5月30日〜6月18日、ビエンナーレで任に当たる(図6−2,3)。 6月18日〜7月9日、フィレンツェ、ミラノなどを巡る。 7月9日〜8月4日、パリ滞在。 8月4日、ミシェル・タピエの車でスペインに向かう。 8月6日〜13日、バルセ