●対談 杉本拓×細馬宏通 音楽と音楽じゃないもののあいだ 杉本拓『楽譜と解説』の刊行を記念しての対談です。お相手は、「しゃぼてん通信 第1号」に引きつづき、細馬宏通さんです。 対談中にも触れられますが、杉本さんは音楽を情動喚起のツールとしては考えておられないし、細馬さんもまたその作曲においては、一見ポップスのフォーマットを用いつつも、そこに起こる情動は、一般的な音楽のそれとはかなり異なるものといえます。そんな共通点を理由に、おふたりに話していただきました。 ──『楽譜と解説』はいわば杉本さんの作曲をめぐる試行錯誤を、考え方としてではなく実践の結果として提示しているといえると思うんですね。いっぽう細馬さんも作曲をするわけですが、細馬さんは一般的ないい歌を書こうとしているわけではないですよね。 杉本 そんなこといっていいの? 細馬 にゃー。 ──いや、もちろんいい歌を書かれているんですけど(笑