1972年から90年、足掛け19年に亘って活動した5重奏団、サウンド・スペース・アーク(小泉浩:フルート、 鈴木良昭:クラリネット、 篠崎史子:ハープ、 高橋アキ:ピアノ、 山口恭範:打楽器)の委嘱作品には、武満徹「雨の呪文」、八村義夫「ブリージング・フィールド」、近藤譲「島の様式」、松平頼暁「アークのためのコヘレンシー」など、現在でも再演される現代音楽の名品が含まれるが、松平頼則の「序」と「破」もまた、この作曲家の美質を十全に表現した現代音楽の財産の一つといえるだろう。ちょうどこれらを作曲した頃から、松平は声楽家:奈良ゆみとのコラボレーションに重きをおくようになるので、純粋に器楽のために作曲された室内楽曲としては、このあたりが作曲家の到達点といって良いものではないかと思う。 なぜ、これほどの作品が演奏されないのか。それはまず、これらが作曲されて間もなく、委嘱団体であるサウンド・スペース・
![101年目からの松平頼則](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/06a15c64ba0ceec233d86d71001ebb29a9dcbf5d/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn.blog.st-hatena.com%2Fimages%2Ftheme%2Fog-image-1500.png)