57歳の弟ともみ合った末に死なせたとして、東京都武蔵野市吉祥寺南町、自営業、田中健一郎容疑者(60)が今月3日、警視庁武蔵野署に傷害致死容疑で逮捕された。弟は統合失調症で最近は薬を飲まず、2人暮らしの父親(89)に暴力を振るうなど荒れ気味。事件当日も、田中容疑者がその暴力を止めようとしたところだった。攻撃的になることもあるとされる統合失調症患者。田中容疑者の犯行は許されないが、父親らから話を聞くと、過酷な状況に置かれた家族の現実が浮き彫りになってくる。 同署や父親ら家族によると、弟は統合失調症で、5年以上前には1年間ほど入院。退院後は無気力な状態が続いていた。「長男のおれが面倒を見ないと」。近所に住む田中容疑者は妻にそう言っていた。自身も脳出血を経験しているが、食事などの世話を続けた。 「病気が治ったんだ」。そう説明する弟は数カ月前から薬を飲まなくなった。実際、元気を取り戻したかに見え、田