富永 健一, 2002, 『戦後日本の社会学: 一つの同時代学史』東京大学出版会. 富永のいうリベラル社会学が、マルクス主義社会学に勝利したことを宣言した書。客観性に拘泥していないので、大胆に単純化したストーリーを展開できていて、読み物として非常におもしろい。歴史的事実としてどこまで信じていいのか疑わしい記述も散見されるが、同時代を生きたインフォーマントの証言として、そういった疑わしい記述も含めて私にとってはたいへん興味深かった。一つ残念な点を挙げれば、むだに長い点ぐらいだろうか。471ページの著書で、各節で原則的に 3つ代表的な著作を取り上げている(合計52冊)のだが、2つか1つにすれば300ページ未満に抑えることができて、引き締まった内容になったと思うのだが。そうやって、もう少しメリハリをきかすとストーリーとしてはもっとおもしろくなったと思う。 富永によれば、戦後社会学の歴史は、以下の